「愚かな…。


人の上に立つには、役不足なのだよ。


今の王は。


僕には、王座でくつろいでいるようにしか見えない。


国が動いていかないのだよ。


そんな王ならば、いない方が良い。


いっそ僕が王となった方が、この国のためになろう。


…君は、


邪魔だ。


その王の忠誠心ごと、消し去ってやるよ。


…朽ち果てろぉぉぉ」


そう言い、私に向かって、走り出した。


…速い！


20m程の距離があったのに、もう懐に入り込まれた。


ブゥ…！


私は慌てて右手に粒子の棍棒を出した。


キィン！


振り下ろされた剣を、すんでの所で受け止める。


ザァァァ！


鋭い剣撃…だ。


力を相殺しきれず、体が後ろへ弾かれてしまった。


…2撃目が来る！


左横から！


私は、慌てて棍棒を斜めに構えた。


キィン！


…よし、受け止められたぞ。


「遅い」


その言葉の後、ジイールの前蹴りが、私の脇腹を襲った。