「博士…。


上層部の方…です。


どうすれば良いのでしょうか？」


固まっていた私に、サファが不安げに言った。


「戦いたくない相手だぞ…。


私とは、圧倒的な差が存在する」


私は声を絞り出すように言った。


「そんな…」


「戦わずに、問題を解決したいと感じる」


「どんな方法が…あるでしょうか？」


私は、首をひねる。


「方法を考えると…、


逃げる、という手がある。


いきなり襲撃してくる相手なのだ。


直接出会って、話で解決しようとしても、無理に思えてくる…」


「確かに…危険です。


思い返してみますと、脅して私を奪うことしか考えていないように思えます。


出会ってはいけないと感じます」


「しかし、本当にそれで良いのかと感じる」


「？」


「私達が逃げた後、諦めてくれたら良いのだ。


しかし、未来予測システムに対する執着が強かった場合、ずっと追跡を止めない可能性がある。


そうなった場合、いずれ隙をつかれ、奪われてしまうだろう。


頻発する襲撃から考えて、彼が持つ執着は…強そうに思える。


何か、心に根深い野望を抱えているように思えてならないのだ。


…。


逃げては、駄目…だ。


…。


すまない。


サファ。


危険があるが…、


直接、ジイールと出会い、


平和的に解決出来るよう、


話をつけたい」