「サファ。


50億年後の未来予測を頼む」


私は、女性型未来予測システムのサファに言った。


「了解しました。


これより未来予測を開始します」


彼女は祈りを捧げるかのように、胸元で手を握り締めた。


彼女の体が、やわらかな光を放つ。


ブゥゥ…ン。


「未来予測が完了しました。


映像を投影します」


彼女はそう言うと、手を前にかざした。


幻想的な光があふれ、開発室内を舞った。


そして集束し、ホログラフィが現れた。

Schleich チンパンジー (メス)

Schleich チンパンジー (仔)

Schleich チンパンジー (オス)

「チンパンジー」


「チンパンジー？」


「はい。


未来には、チンパンジーという生物がいるようです。


アフリカに生息しています」


「どのような生物なのだ？」


「木登りが上手な生物のようです。


木の上で行動することが多く、木の実を好んで食べます。


寝る時も、木の上が多いようです」


「かなり身軽な生物なようだ」


「知能が発達しています。


石を使って固い木の実を割ったり、枝を使って穴の中のアリを釣り、食べることが出来るようです」


「ほう…。


かなり器用なようだ」


「未来人は、自分たちとチンパンジーの遺伝子レベルが近いと分析しています。


祖先が同じであると考えているようです」


「なるほど。


その分析は、間違いないように思える。


私達もチンパンジーと似た生物を祖先と分析しているのだ」


未来人と私達は、似た進化をたどっていると感じた。

人間はどこまでチンパンジーか?―人類進化の栄光と翳り