…実？


サファの叫びに私は嫌な予感がし、


棍棒を根に振り下ろすのを止め、慌ててスイーカから離れて頭上を見上げた。


ま…まさか、実が反転して私にぶつかってこようとしているのか…？


…いや、違う。


大分減速しているが、まだ実は上昇したままだ。


で…では、なぜサファは実を見て叫んだのだ？


私は実をじっと見つめた。


プラチナの大きさ1mの球体におかしなところが…、


あ、あったぞ！


底の部分に1つ、直径数cmの穴があいている！


確かそこに穴などなかったように思える。


「博士が茎を叩いている時に、突然、実に穴があいたのです！


兵器組換石が実の内部にも兵器化を…」


カチ！


サファの言葉をさえぎるように実が音を鳴らす。


そして、実が私に穴を向け、


ドォン！


何かを打ち出した！


す、凄い勢いでまっすぐ私に向かってくる！


避け切れないスピードだ！


このままでは私に直撃する―


ふ、防ぐのだ、棍棒！


ブゥゥゥ！


私は右手に握っていた棍棒を振動させ、


頭上で構えた。


その直後、


キィィィン！


棍棒の中ほどに白銀の何かがぶつかり、強い衝撃がはしる！


私は弾かれ、頭から落下した。


ビュゥゥゥ！


ぐっ…、強烈な一撃だ！


スイーカは一体、何を飛ばしてきた…のだ！


私は静止し、ジイールの屋敷の庭に落ちていく、


白銀の大きさ数cmの、丸みのある細長くて平たい何かを目で追った。


あれは…。


どこかで…。


…！


わ…分かったぞ！


スイーカの実を食べている時に見たことがある！


出てきたのは実からなのだ。


おそらく間違いない。


あれは…、


ス…スイーカの種だ！