一定量の散布…？


どういうことだ？


…しかし、ここまで近付いたのだ。


ジイールの背後に回り込めている。


ジイールの剣は、私に向けられていない。


チャンスに思える。


攻撃させてもらうぞ！


私は、棍棒を頭上に構え、急降下した。


ジイールは…その場で立ったまま。


これは…、


当たる！


私は、棍棒を…振り下ろした。


ブゥン！


ダァン！


周囲に、衝撃音が響き渡る。


その衝撃音は…、


私が棍棒でジイールを叩いたために発生した音…ではなかった。


私の両足が、勢いよく床に着地したために発生した音…。


私は、棍棒でジイールを叩くことが出来なかったのだ。


なんとかして、叩こうと思っていた。


多少避けられても、追撃しようと思っていた。


しかし、それが、出来なかった。


振り下ろした時に、私の意識は、ジイールに向いていなかった。


わずかに回避した、ジイールを追うことも考えられなかった。


私に、それをする余裕がなかったのだ。


私は、棍棒を振り下ろした体勢のまま、口を開いた。


「ジイール…。


お前は、一体…、


何をしたのだ！」