「効いたようだね。


剣の力が」


私のすぐ横で、ジイールが言った。


攻撃される間合い！


私は、慌てて後ろに跳躍し、ジイールとの距離をとった。


「くっ。


効いた…ぞ。


戦闘に意識を向けるのも、ままならぬ状態となった。


この剣の力…、


何なの…だ」


ガク。


私は、床に膝をついた。


「フッ。


残酷なまでに効いたようだね。


このまま蹴り倒すのも忍びない。


ヒントを、あげよう。


君は、


料理をするかい？」


「料理…だと？


しないぞ！


イーヌ型食糧配給システムのクーに頼っている！」


「そうか。


ならば直に経験はしていまい。


しかし、話には聞いたことがあるはずだ。


この国において、主要に栽培されている野菜がからんでいるのだからな！」


「野菜？


人をこのような状態にする野菜が、この国にあるというのか！」


「あるのさ。


切った時に、人をそのような状態にする、


成分を放出する野菜が！」


「野菜を切った時？


…ある。


あるぞ！


かつて、このような状態になったことが！


1度だけ、ある！


試しに、料理をしてみようと思った時に！」


「分かったようだね。


この剣が放っていた風が何であるか。


そう。


この剣が放っていたのは、


タマーネギの汁だ！」