「ジイールの件、よくぞ伝えてくれた。


こちらに来て、詳しく話を聞かせてほしい、


と、王がおっしゃっています」


後ろにいるコリィンが、静かに扉を閉め、言った。


私とエリィナはうなずき、玉座の前へと進んだ。


緊張が最高潮だ…ぞ。


王の目の前に…来たのだ。


固まる私をよそに、エリィナが、片膝をついてお辞儀をする。


いけない、エリィナにならわなければ。


王の面前なのだ。


頭を高くしていてはいけない。


私も片ひざをついて、お辞儀する。


「にゃ」


「頭を上げてほしい、


と、王がおっしゃっています」


王の左側に立って、コリィンが言った。


私は恐る恐る頭を上げ、


王のいる玉座を見た。


圧倒的なまでの存在感を放ちながら、


王が4本足で、玉座の上に立っていた。


そのプレッシャーで、私の背中を冷や汗が流れた。


王は…人ではない。


ホワットコガーという、動物なのだ。


50億年後に生息するホワイトタイガーを、


猫サイズにしたような姿をしている…。