エリィナが眉をひそめ、


「なんとなく…？


そういえば、コリィンがホワットコガーの言葉を理解出来るという話は、今まで聞いたことがない…。


お前が私達に伝えた、王達の言葉は、本当ではなかったというのか？


どうして、そんなことを…」


コリィンに聞いた。


「お役に立ちたいと思ったのです。


直感で通訳したわけではあるのですが、全てが外れているとは一概には言えません」


コリィンが答えた。


「確かに王達とは会話が出来たが…。


しかし、外れていたら、どうするんだ。


王達は、この城に民のために残ると、お前は言ったが、


実際は、そう言っていなかった場合、


あまりにかわいそうではないか。


それに、考えてみると、


王達の言葉を無理矢理通訳しなければ、


王の間でのやり取りは、


お前に王達と城内にいる者達の避難をお願いするだけだった。


それだけで、用が済んだのだ。


なぜこの緊急時にお前の茶番に付き合わねばならないのだ」


エリィナがコリィンをにらんで言った。


私は二人の間に割って入り、口を開く。


「いや、エリィナよ。


私には、彼女が伝えた王達の言葉が、偽りとは思えない。


王の間で見た、王達の表情は、真剣に見えた。


この国の行く末を、真摯に考えているように見えたのだ。


その雰囲気には、圧倒されてしまった。


ここは、彼女の言葉を信じようではないか」