私はあごに手をあて、


「そう…か。


アレク様は、幼き頃、先代の王とともに暮らしをされていたのか。


それならば、人の言葉が理解出来るようになっても、不思議ではないかもしれない。


我が国の先代の王は、立派な人だった。


そのようになりたいと、憧れを抱かれたのだろう」


と言った。


エリィナは首をひねり、


「本当にそうだろうか、コード。


どんな環境で生活していても、


人ではなく、ホワットコガーなのだ。


人とは全く別の生き物なのだ。


会話する時は、


にゃあとか、しゃぁとか、みぃだ。


人とはあまりに言葉が違いすぎている」


と、私に言葉を返した。


「確かに、そうだが…」


私はつぶやく。


エリィナがハッと気付いた感じで外を見て、


「ここで長々と話をしている場合ではないぞ、コード。


ジイールの屋敷がこちらに向かってきているのだ。


早く止めないと！」


私に言った。


「そ、そうだな。


王達がどうであろうと、


守らないといけない方々であることに変わりはない。


私達の平和のために、


王族となり、


この城に住んでくれている。


私達のわがままで…、


この城に招いたのだ。


そんな彼らを、私達は、決して傷つけさせてはいけない」


私は顔に決意をみなぎらせて言った。