シュン。


ドアの角とドアノブが、元に戻り始めている。


兵器組換石により組み換えられていた内部構造が、本来の状態に戻っているのだ。


組み換えの痕跡を残さないため、そう設計したと思われる。


兵器組換技術は、法律により禁じられているため、使用したという証拠を隠したいのだろう。


完璧に戻った。


しかし、無残に朽ち果てている。


私の開発室のドアだったものだ。


長年、プライベートな開発を助けてくれたドアだった。


何か…センチメンタルを感じるぞ。


「博士。


大丈夫ですか？」


ドアを見つめ、立ちつくす私に、未来予測システムのサファが心配そうに聞いた。


「ああ。


少し感傷的になってはいるが、問題ない。


後、私の過失による頭部のダメージもあるが、大丈夫に思える。


しかし、念のため、治療を行っておこうかな」


私は、そう言うと、右手を前にかざした。


左手のガントレットが輝き、私の頭に向けて、風が起こる。


「周囲から、治療効果のある物質を頭部に集めた。


これで大丈夫だ。


誰が犯人か気になるが、お腹が空いてしまった。


とりあえず昼飯を食べに行くぞ」


私は、そう言い、食事施設へ足を向けるのだった。