私は、食事施設へ行くため、研究開発施設のある丘から、階段を使い、下へ降りようとした。


その時だ。


「ばかがぁぁぁ」


私の背後から、声が聞こえた。


私が驚き、振り向くと、そこには、フークロ（50億年後のフクロウという生物に似ている）のような男がいた。


研究開発長のデイードだ。


顔を見ると怒っているようだ。


なぜなのだろうか？


「お前！


なんだこの騒動は！


建物が損壊しているではないか！


何も報告しないで行くのか！


ばかがぁぁぁ」


おお…。


言われてみれば、その通りだ。


「すまない。


研究開発長。


空腹であったため、そちらに気を取られてしまった。


生命維持が困難になりつつあり、焦りが生じていたのだ。


そのため、報告をないがしろにしてしまった」


「ばかが。


一体、何が起こったのだ？」


「ドアに襲撃された。


兵器組換技術を使ったと見られる」


「兵器組換技術？


違法ではないか？


いかんだろうが！


誰がやったのだ！」


「分からない。


これから調査したいと考えている」


「そうか…。


狙われる心当たりがないのか？」


「…分からない」


私が開発したサファが発端だが、未来予測システムは他人に知られてはいけない。


そう思い、私は、とっさに嘘をついた。


「奇怪だな。


…分かったら報告するのだ」


「了解した」


「建物の損壊は、私が直しておく。


みっともないからな。


私の力なら、たやすい」


「感謝する。


研究開発長」


私は、一礼し、その場を後にするのだった。