私はガクッと肩を落とした。


そんな私を見てサファが慌てて顔の前に飛んで来る。


「は、博士！


気を取り直して頑張って下さいよ！」


その声に私はハッとし、


「す、すまない、サファ。


気落ちしている場合ではなかったぞ」


サファに頭を下げて言い、頭上を見上げた。


数十m上をスイーカが実を先頭にし上昇していた。


減速を始めているようだが、まだ速度があり、根が実に引っ張られたままである。


先程の攻撃は失敗したが…、チャンスはまだあるぞ。


根が手前側に…攻撃の届きそうな位置にあるのだ。


今、実は減速に専念しており、根を守りには動けないはず。


実が減速を終える前に接近すれば、攻撃を阻むのは2本の茎のみ…、


うまくいけば、根に攻撃を当てることが出来るかもしれない。


よし…、急いでスイーカに近付くぞ！


ビュゥゥゥ！


私は両足に付着した粒子を操作して、スイーカに向かって飛び上がった。


スイーカとの距離が…緩やかにせばまっていく。


…まだスイーカが上昇しているため、距離が中々縮まっていかないのだ。


このままではスイーカが止まる前までに攻撃を仕掛けられないぞ。


もっと加速するのだ、私よ！


うおお！


私は意志力を高め、


ゴォ！


飛行速度を加速させた。


スイーカとの距離が、先程よりも早く縮まっていく。


どんどんとスイーカが私の視界で大きくなっていき―


実が減速を終える前に、根の近くに到着した。