私が、階段を3段降りた時、


「ばかがぁぁぁ」


ズズ…。


背後から、研究開発長デイードの声と、振動音が聞こえた。


後ろを振り向くと、デイードの頭全体がうっすら光り、私とドアが壊した壁や窓の破片が空中に浮かび上がっていた。


それらが、元あった箇所に戻っていく。


壊れていたドアも修復され、私の部屋へ向かう。


デイードは、頭に色んな技術を内包していると聞いたことがある。


その中に、修繕技術や、意志力エネルギー変換システムがあり、それを使って修復しているのだろう…が…。


研究開発長デイード。


恐ろしい男だ。


システムの出力が、著しく高い。


遠距離にまで力が及んでいる。


それをしようとした場合、とんでもない意志の力が必要となるのだ。


私は、この職に就き、150年程になるが、就いた時には、すでに長として君臨していた。


私とは、圧倒的な能力の差があるのだ。


もし、彼が未来予測システムを狙う首謀者であった場合、勝つのは厳しそうだ。


彼が、犯人でないことを祈るしかない。


しかし、何はともあれ、ドアを直してくれたことは、ありがたいと感じる。


感謝する。


デイード。