「サファ。


50億年後の未来予測を頼む」


私は、女性型未来予測システムのサファに言った。


「了解しました。


これより未来予測を開始します」


彼女は祈りを捧げるかのように、胸元で手を握り締めた。


彼女の体が、やわらかな光を放つ。


ブゥゥ…ン。


「未来予測が完了しました。


映像を投影します」


彼女はそう言うと、手を前にかざした。


幻想的な光があふれ、開発室内を舞った。


そして集束し、ホログラフィが現れた。





「ぬりかべ」


「ぬりかべ？」


「はい。


未来には、ぬりかべという妖怪がいるようです」


「どのような妖怪なのだ」


「壁の妖怪です。


夜道を歩いていると、道をふさぎ、人を通れなくしてしまうようです」


「なんと！


危険な妖怪に思える。


大丈夫なのか？」


「それ以上の悪さをしないようです」


「奇っ怪な…。


イタズラが好きなのだろうか？」


「そう推測されます。


そんなぬりかべですが、仲間からすると、頼れる妖怪なようです。


体が大きく、丈夫です。


敵からの攻撃を、その体を盾にして防いでくれるのです。


また、攻撃する能力も高いようです。


敵に倒れかかって押しつぶしたり、捕まえて自分の体内に塗り込んでしまうのです」


「おお。


心強いぞ」


ぬりかべ。


未来には、興味深い妖怪がいると感じた。